天然の鉄サビ!鬼板という鉄絵の原料のお話です。
陶芸の鉄絵に使う材料で「鬼板」と言うものがありあます。織部や志野、そして唐津の絵などは全て「鬼板」という岩石を使うのです。市販されている「鬼板」は微細な粉になっていますが、元々は褐鉄鉱(かってっこう)という岩石の一種で天然のさび鉄と言ったら理解しやすいですね。
京都では「鬼板」は出ませんが、錆土(さびつち)と言う、鬼板よりやわらかい土が産出されています。京錆土と言い茶室の壁土として利用されている土です。
この錆土の鉄分が多い部分は鬼板と発色においては見分けがつかない位同じように見えます。しかしそこに釉薬が重なると輝度や色合いが異なる発色をする場合も出てくるんです。
しかし、普通の焼成においては、鬼板を使うか京錆土を使うかは自己満足の世界観でしかありません。ただ陶芸の世界ではなく、茶室の世界では錆壁という寂びの極めである壁に対しては京錆土は大事です。
最近はただの壁土に砂鉄を混ぜ合わせて錆壁を作り出していますが、錆土で作り上げた錆壁と砂鉄を混ぜ合わせて作り上げた錆壁とは全く風合いが異なります。
今回は錆土ではないのですが、「鬼板」の動画がありますので、どんな岩石か見てみてください。