釉薬調合と試験焼成について
釉薬の調合には、時間と根気が必要です。何故かと言えば、その調合した釉薬が、使用する土と相性がいいか、また色合いがいいかを試験焼成して確かめなければならないからです。
例えば、光悦釉薬と言われている釉薬があります。誰がそのように名付けたかは分かりません。
白粉10に対して、硅石6と言う配合です。
硅石が白粉10に対して6も入っていますので、触り心地が硬めの釉薬です。
では、この光悦釉が分かったからと言っても、光悦が本当に配合した釉薬としても、光悦が使った土に対して良かっただけで、現代に自分が使用する土に合うかは別問題となってしまいます。
よって、確信できることは、光悦釉の配合データだけなのです。
簡単に言い表せば、ヒントを貰ったと言う感じです。
ここから、釉薬の試験が始まります。まず、自分の使用する土で、この光悦釉を焼成します。
光悦釉は透明釉なので、赤楽の試験焼成となります。
何を試験するかと言えば、この光悦釉が解けた時の茶碗の色合いです。
赤楽に使う黄土は温度により、いろいろ色が変化します。
よって、この釉薬が融けた時、どのような色合いに黄土が発色するか?を調べるために試験をする訳です。
もし、この釉薬自体が良ければ、釉薬の配合は変えられません。しかし、発色が今一だということはよくあります。
その場合は、黄土の調合をしなければなりません。
何故かといえば、それしか道がないんです。焼成温度を変えれば、赤の発色は確かに変わります。
しかし、低くすれば釉薬は解けないし、高くすれば、釉薬はドロドロになってしまうからです。
よって、釉薬を決めたら、当然その釉薬には適正焼成温度があるので、この二つは定数としてしまいます。
なので、変数は黄土とするのです。
その他の方法としては、土を変えるか、光悦釉をいじるしかありません。
その場合は、当然釉調は変化してしまいます。