楽茶碗の口縁部の作り
楽茶碗の口縁部の話をしたいと思います。
「五山」とか「五岳」とも言われる口縁部ですが、茶碗を横から見てほぼまっすぐな茶碗もあれば、緩やかな上下のカーブを描く茶碗もあります。
作者の個性が表れる場所でもあります。
まず、基本から説明します。
茶碗を上から見て、茶碗の正面を時計の9時方向にすると、飲み口は6時となります。
12時は飲み口から見たら、オデコ側となりますね?
この位置関係がわかったところで!まず飲み口は、9時側の正面と3時側より少し低くなります。
これは飲みやすくするためにです。
また、6時の飲み口で茶を飲んでいると、12時側のオデコ側は少しさがっていたほうが、圧迫感がありません。ですので、12時側は少し下げます。
では、今度は正面の9時と3時側の関係は、8時半と3時半(短針で)の場所は茶杓を置きますので、茶杓が転がらないように安定してなければいけません。
以上が口縁部の基本となります。
この基本をダイナミックにするかしないかは、作者によります。
長次郎作品は良く見ないと判断がつきませんが、しっかり観察するとその基本を大事にしています。
江戸後期の作品集などは、大胆な動きとなり、後に「五山」と言われる口縁部になっていきます。
現代作品もこの傾向が強いですね!
ところで、光悦の飲み口場所は少し変わっています。
普通の飲み口は前述したように6時側ですが、光悦の茶碗はやや7時よりになっています。
何となく口縁部の作りは理解出来ましたか?
楽茶碗を作る方は、しっかりこの点だけは大事にしてください。
「用の美」は楽茶碗にとっては、骨子ですからね!