『長次郎の赤楽茶碗「早船」から学ぶ知識』
今日は遂に今年最後の「大晦日」となりました。
でも、このオヤジのブログは今年最後とはなりません。
今日の話は、長次郎の赤楽茶碗「早船」について話したいと思います。
この赤楽茶碗は茶碗の正面に炎を浴びて窯変したような景色をしており、利休が愛用した茶碗としても有名人なものです。
さて、この正面の炎を浴びたような景色ですが、どのようにその景色が付いたか分かりますか?
自然に付いた?それも茶碗の正面に?
どうやって?
昔の茶碗の焼成方法を考える場合は、このように考えるんです!
○自然に付いた→正面に→偶然だったら奇跡。
この段階では、「自然に付いた」と「技法による作為」の二者が存在します。
そこで、あらゆる図版にて「早船」の写真を検証していきます。
なぜ正面にあれほどまでに炎の跡が窯変として残るか?
実際は、正面に窯変を出すことは可能ですが、バランス良く高さもコントロールしてバランス良く窯変させることは、限りなく不可能に近いと経験上思います。
実はこの「早船」、炎のような釉がけを事前に施しているんです。
その施した部分に実際の炎をしっかり当てて焼き上げ景色を作り上げているのです。
そうオヤジが言っても、信じない方々もいらっしゃると思います。
では、極めつけの話をします。
偶然と言うか奇跡にてこの「早船」の正面に景色が出来たとします。
この焼成した楽窯はどんな形式の楽窯がもう皆さんは分かりますよね?
奇跡にしろ、作為にしろ、下から炎が上がる直炎式の楽窯だったのです!
だから、「楽焼秘嚢の窯」や「金炭窯」、そして七輪を改良した楽窯もみんな同じ直炎式の窯なのですよ。
でも、直炎式の楽窯は焼きがナイーブなんです。
何故だか分かりますか?下から炎が上がる訳ですから、窯下が熱いでしよ!
そんな窯なのに、早く焼き上げたいと気持ちが焦って火力を上げると、茶碗の下部だけドロドロに溶けてしまいます。
なので、直炎式の楽窯は茶碗全体に熱が廻るように、ゆっくりと焼いていくのがテクニックなんです!
ゆっくりですからね!上手く焼けたかどうかは、茶碗の口縁部と腰が同じ様に焼けたらもうプロですよ!