楽茶碗のヒビの是非。
楽茶碗のヒビには賛否両論あります。
今回の写した本歌茶碗(本物茶碗)にもヒビは入っていました。
しかし、この茶碗のヒビは乾燥時か素焼き後に入ったヒビであり、それを良しとして焼いた節があります。
何故なら、ヒビに釉薬が入っているからです。
焼きによってのヒビには釉薬が入り込みません。
作者は、ヒビもまた良しとして作品にしたことと思います。
一般に売り物の茶碗は、現代に於いてはヒビは不良品となります。
しかし、元来日本の伝統では、完品は次ぎは壊れるという観念から、わざとヒビを良しとしたり、また備前の旅枕(30~40センチ位の高さの筒型の花入)などの口縁部分をわざと叩いて欠けさせている作品もあるのです。
また、光悦の作品などは、これまたわざとヒビを活かしている作品も多々あります。
ですから、単にヒビとは見ず、是のヒビか非のヒビかを観察してほしいと思います。