楽茶碗は大嫌い!? でも茶碗を焼きに焼きまくる男『迷雲』のブログ

楽茶碗の製作は地味で熱いなどシンドイことばかりですが、楽茶碗師『迷雲』が製作を通して感じたこと、知っていること、時たま脱線したこと(いつもかな?)を書き綴っていきます。

楽茶碗の焼成時の炭について

楽茶碗の焼成に使用する炭について説明します。

楽窯でのサヤ焚きの場合は、一番無難な炭は備長炭です。

ただ注意が必要な事は、今は備長炭は一般名であり、白炭は全て元の材質に関わらず備長炭と表記しています。

白炭とは高温で木材を焼いてから一気に真っ赤になっている木材を炭窯から引き出して地中に埋めて酸素を封じて作る炭です。

そのように作られた炭は白炭と言い、備長炭と大雑把に言われていますが、正式な備長炭はウバメガシと言う木材を白炭に焼いた炭を指します。

ウバメガシの白炭(備長炭)はとても固く、炭通しを叩くとキンキンと金属音がするので、すぐに分かると思います。

ウナギを焼く時に使う炭がこのウバメガシの備長炭です。

なぜこの炭を使うかと言うと、急激に温度を上げるには不向きな炭ですが、一定の温度を保つのは得意な炭なのです。

ですから、ウナギの蒲焼きには持ってこいなんですよ!

同じくして、楽茶碗のサヤ焚きに於いても、じっくり温度を上げていき、その温度を保ちながら、茶碗全体を均一に焼くにも持ってこいの炭なのです。

初めの火付きはとても悪いのが難点のすみですけど。

逆に温度を急に上げたりしなければ成らない窯には、ナラ炭が良いです。

軽くて燃焼も早くカロリーもあります。

もっと燃焼が良い炭はなんと言っても松炭です。松炭はとても燃焼が良く、またオキも少ないので、窯内にオキが溜まらずいつも最高のコントロールしやすい燃焼を得ることが出来ます。

難点としては価格が高いのと、入手が大変です。一番の松炭を使うのは刀匠なんです。刀匠は松炭しか使いません。

またその松炭も完全に炭にしてしまう少し手前の炭焼きで仕上げてある松炭を使います。その状態の松炭の方が燃焼パワーがあるからなんです。

大体の炭が分かったところで、皆さんが楽茶碗を焼く場合には、無難なところでは、ウバメガシの備長炭をお勧めします。

しっかりした作りの楽窯でサヤ焚きをするのであればこの炭を使ったら良いと思います。

しかし、赤楽茶碗やサヤを使わない直に茶碗を焼く場合には、ナラ炭が良いと思います。

ウバメガシの備長炭より安価であるし、窯の中の炭の調子を揃える時に楽です。

ウバメガシの備長炭は真っ赤に燃えているときでも非常に固いので、炭の位置を変えるなどの作業を伴う時には難儀します。

また、一番安易に焼きが出来る炭は、おがくずを竹輪のように固めた備長炭です。

もう備長炭の意味はわかりますね?
おがくずを固めて焼いた白炭です。

この炭は安価であり、かつパチパチと火の粉が出なく、煙もほぼ出ません。

なので、近隣に臭いや火の粉の心配は無いに等しいので、焼きに集中出来るのです。

ですから、このオヤジも使用することがあります。

ただ欠点はあります。元来焼肉屋用の炭なので、完全に炭化しており、木材成分まで無くなっているため、煙はほぼ出ないのですが、還元焼成には不向きなのです。

還元焼成は火炎の状態だけではなく、炭の揮発成分によっても還元になるからです。

その揮発成分が全くないために、酸化の赤楽茶碗には適していますが、還元の黒楽には不向きな面もあるのです。

そこで登場するのが、キャンプのバーベキュー用に使用するマングローブの炭です。

この炭は全てインドネシアなどから輸入されている炭ですが、完全に炭化してはいません。

なのでパワーがあり、また揮発成分も残っているので、還元焼成が楽におこなえます。

要は、おがくず備長炭+マングローブ炭で焼成するのです。

還元させる時の比率は、作品の焼きによりますが、おがくず炭が6~7割。マングローブ炭が4~3割と言う感じです。

炭は奥深いのですが、皆さんも色々試して見てくださいね!

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