見事な宗入の黒楽茶碗を焼いて欲しい
来週入会される女性が作りたい黒楽茶碗が、宗入の黒楽茶碗である「亀毛」です。
なんでこの茶碗にこんな銘が付いたかの経緯は知りませんが、亀には毛が無いですよね !
でも、古い絵などに亀の尾っぽ辺りに毛が生えている亀がいたような。
亀の甲羅に藻が付いて、それが毛のように見えて、高貴なものに見えたから、縁起の良いものとされたのかな ?
この茶碗は長次郎の形状に近いものがあります。
しかし、宗入は宗入らしい釉薬調合と焼きで、新たなる宗入の茶碗を世に出しました。
私の認識では少し違いますが、これもカセ肌と言われているようです。
でも、私は柚肌の方がピンとくるかな。
どちらにせよ、今までには無かった釉薬の表現で、宗入の茶碗に引かれるのも、この釉調だと思います。
今私が考えていることは、如何に簡単に失敗の確率が少なくて、この写しが焼けるかなんです。
それは、今度の入会者が世にある宗入の「亀毛」の写しより良い茶碗を焼いてもらいたいからです。
私が焼くのであれば、なんとしてでも焼きますが、私が焼成を手伝ったら何の意味もなく、また自分で作り、自分で焼き上げたと言う達成感もないじゃないですか ?
なので、無理なく、あまりシンドクなく、焼ける方法が無いかと思案中なのです。
昨日のブログでも話しましたが、黒楽茶碗の釉薬は温度が上がると、ブクブク泡立ちます。
宗入の黒楽茶碗はその泡立ちをなるべく起こさないようにして釉薬を茶碗に定着させなければなりません。
しかし、その温度の上げ方や見極めが重要で、当の宗入でさえ泡立ちを起こした作品もあるくらいです。
その泡立ちも小さな泡立ちだったら良いのですが、大きい泡立ちは完全に釉薬が溶け出さないと消えないんです。
なので大変な訳です。
何故泡立ちが起きるかと言えば、素焼きの作品には隙間があり、その上に釉薬を塗るので、当然空気が中に微量に入っています。
その空気が熱せられることにより膨張して表面に吹き出して泡立つのです。
釉薬の性質が水っぽかったら、直ぐに泡立ちも無くなりますが、黒楽釉は粘りがあり、まるで飴のようです。
なので、泡立ちが始まるとなかなかその泡立ちが弾けることなく残ってしまうのです。
そんな問題を含む宗入の黒楽茶碗ですが、見事に焼ききって欲しいと思います。