楽茶碗は大嫌い!? でも茶碗を焼きに焼きまくる男『迷雲』のブログ

楽茶碗の製作は地味で熱いなどシンドイことばかりですが、楽茶碗師『迷雲』が製作を通して感じたこと、知っていること、時たま脱線したこと(いつもかな?)を書き綴っていきます。

侘びの茶室、侘びの今長次郎や今光悦

先日YouTubeにアップしました待庵の茶室の起こし絵図はいかがでしたか ?

現代の感覚では、起こし絵図を初めて知った方もいるだろうし、また見ても「これが起こし絵図と言うものか」位の感想だと思います。

みんなそうですから、それでいいのです。

でも、今日は少しだけ今までより興味を持ってもらうために、違う角度から見てみたいと思います。

まず、待庵の言われはネット上の情報に任すとして、この待庵は侘びの極致の茶室とも言われていますよね !

それで、「侘び」とはなんでしょうか ?
「侘び」=「持たざる者」のことなんです。

室町の東山文化の舶来主義から、禅の考えを取り入れ、持たざる者でも出来る茶を形に表したのが「待庵」なのです。

なので、狭く、立派な木材も使わず、畳の縁も一番位の低い「黒」としてその侘びを出しているのです。

でも、そうは言え各所に創意工夫はしています。

まず、にじり口にじり口はこの頃の茶室には南方をにじり口としている茶室が多いです。

反対側の北には床、そして窓は南側と東側にあります。

西側は起こし絵図では省略しましたが、水屋の建物が付随しています。

まず注目する点は、2方向にある窓です。
南側に段違いで2つ。また東側にも同じく2つ。

何故段違いなのでしょうか ?
これは季節により高さのカワル太陽に関係しています。

どの季節においても適用する窓明かりとなりますね。

ではなんで西側には窓がないか ?
水屋があるから当たり前とは考えないでください。

そう、西側に窓があると、客座に西からの日射しが入り眩しいからです。

どうです、色々考えられていて面白いでしょ !

このような茶室には茶室に入る前に、外に刀掛けがあり、武士はそこに刀を置いて茶室に入ります。

侘び茶は持たざる者の茶なのですから、点主も客も同等、身分の相違は全く無しですから当たり前のことなのです。

さて、ここからが本題です。
今の茶道は侘びと言いながら、誰々の茶碗だとか、全て名だたる物で成り立ち、侘びは何処にやらです。

ですので、北野大茶会での丿貫(へちかん)のように好きな茶碗や自分で作った楽茶碗でお茶が好きなら楽しんで欲しいのです。

そして自分なりの侘び茶を確立して楽しむことが最高だとオヤジは思っているのです。

要は無理はしてはいけないということ。
長次郎の黒楽が大好きでも、長次郎の黒楽を買うとなると、相当な金額を出さないと買えません。

光悦の茶碗が欲しくても、宝くじが当たらないと買えない金額です。

なので、自分で自分なりに長次郎や光悦の茶碗を作れば良いのです。

それを自分で「今長次郎」、「今光悦」と楽しめばよいのです。

それが侘び茶の本質なのですから。

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