赤楽茶碗と黒楽茶碗、どちらが難しいか?
楽茶碗においては、赤楽茶碗と黒楽茶碗は共に代表格ですね!
秀吉は赤楽茶碗が好きだったと言われ、逆に利休は黒楽茶碗が好きだったと言われていますね!
では、作る側からどちらの茶碗が難しいか?を話したいと思います。
製作時は、どちらの茶碗も変わりありません。何故なら形が多少違うだけで、技術的にはそんなに変わらないからです。
でも、焼きに関して言えば、両者はコウオツ付けがたい位難しです。
まず、赤楽茶碗は黒楽茶碗より低温で焼けるので、焼くことは誰でも出来ます。温度は800~900℃位で難なく釉薬は溶けます。
しかし、1000~1100℃位に温度を上げないと焼けない黒楽は大変です。
1000℃の壁は案外大変なのです。それもユックリ上げるのが大変なのです。でもその温度管理と還元と酸化がコントロール出来れば、それなりに黒楽は出来上がります。
そうなるとどちらの茶碗が難しいか分からなくなりますよね!
結論から言えば、赤楽茶碗の方が難しい。
何故なら、味がある茶碗を焼くことが大変なのだです。
赤楽茶碗は本来は酸化にて赤楽が出来ます。ただ酸化の焼きに徹すると、鮮やか過ぎてなんの味わいも無い茶碗に上がるのです。
現代の販売されている安価な練習茶碗みたいな色合いと思ってください。
色の輝度が有りすぎて、何となく味わいがありませんね!
そんな色合いをどのようにお茶に合うような色合いに焼き上げるかが難しいのです。
答えは、中性炎で焼き上げるのです。酸化と還元の中間です。
還元より酸素を多くして焼くのですが、酸化より酸素が少ない状態で焼きます。
それもふいごでコントロールしながらだから大変。
酸化ですと、窯内部はオレンジ色でクリアーに見えます。しかし、中性炎だと少しオレンジの色合いがくすんで見えます。クリアーなオレンジ色ではないのです。
なので、窯の炎の色合いを見ながら、ふいごの吹き方をコントロールしながら焼くのです。
要はどちらも一長一短あって、どちらも難しい茶碗なのです。