楽茶碗は大嫌い!? でも茶碗を焼きに焼きまくる男『迷雲』のブログ

楽茶碗の製作は地味で熱いなどシンドイことばかりですが、楽茶碗師『迷雲』が製作を通して感じたこと、知っていること、時たま脱線したこと(いつもかな?)を書き綴っていきます。

楽茶碗の景色たる「五山」

楽茶碗の形には、必ず「五山」、「五峰」、「五岳」などの説明がありますよね!どの言葉も全く同じ意味何ですが、茶碗の口縁部分の上がったり下がったりするあの場所のことです。

言葉としては私も知っていますが、あえてこの言葉は使いません。なぜって?必要無いからです。????!

楽茶碗の祖師と言われている長次郎の赤楽の代表作の「無一物」。いい茶碗ですよね!あの赤楽に派手な動きの「五山」はありますか?

多少の口縁部分の動きはありますが、顕著な動きはありませんよね!なぜですか?「五山」と言う形式が楽茶碗に必要だったら、後世の茶碗に存在する「五山が」必ずあるはずです。

「無一物」にも多少はあるじゃないか?なんて起こられてしまいそうですが。「顕著な動き」としての「五山」の動きとなれば、無いですよね!

実は「五山」は当初は形式ではなく、言葉も無く、茶碗の口縁部分に必要な「用」だったと思います。飲み口は少し低くしないと飲みにくい。茶碗の正面の口縁部分は茶杓茶筅を置くので、転がらないように(座りが良いように)。

そう考え口縁部分を丹念に作り込んで行ったのでしょう!それが常慶になると「用の美」を感じ、更に動きが増します。

特に楽茶碗ではありませんが、利休亡き後の「武士の茶」の茶碗になると、更に勢いを増して行き、黒織部の茶碗の口縁部分の動きは強さが表れ、これぞ武士の茶碗と訴えかけてくる動きを出しています。

その後、後世の茶人たちが、その「用の美」を景色と見立て、「五山」と言う言葉が定着した感じがします。

如何ですか?

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