楽茶碗は大嫌い!? でも茶碗を焼きに焼きまくる男『迷雲』のブログ

楽茶碗の製作は地味で熱いなどシンドイことばかりですが、楽茶碗師『迷雲』が製作を通して感じたこと、知っていること、時たま脱線したこと(いつもかな?)を書き綴っていきます。

真砂土に思う

まだ土石流に巻き込まれた方々の捜索が続く、広島の八木地区。この災害で亡くなれた方々にお悔やみを申し上げますと共に、いち早く現在行方不明の方々が見つかることを祈るばかりです。

「粘土はどのように出来るか」の話の中で説明しましたが、花崗岩(かこうがん)は風化しやすいと話したと思います。ニュースでなぜ土石流が起こったかの説明で盛んに言われている「真砂土」が正に風化した花崗岩なのです。

中国地方は花崗岩そのもので出来ていると言っても過言ではありません。まして大昔に出来た花崗岩なので、中国地方の山々がなだらかになる程に風化が進んでいる地方なのです。

そもそも広島の中心部は7本の川が流れる三角州で形成されています。その三角州は正に「真砂土」が流されて堆積したて出来た場所なんです。

「真砂土」は直径7ミリ以下位の砂粒なんですが、川砂や海砂と異なり、砂の角が丸くはありません。

なので、大地が乾燥していれば石垣の様に砂の角々がクサビの様に食い込み、固く大地は締まるのですが、雨など大量の水が染み込むと、砂粒の間に水が入り込んでクサビの役目をした角々が役目を果たさなくなり、一気に流れてしまうのが「真砂土」の性質なんです。

まだ災害ならび行方不明者の捜索が続く最中に粘土の話をするのも心苦しいですが、萩焼の主要土である「大道土」も実は「真砂土」から出来た粘土なのです。

「大道土」は広島より西に向かった防府の四ツ辻と言う所から採集されますが、その採集場所の表土は全て「真砂土」なのです。

萩焼きや植物の成育にも酒造の水にも、役に立つ「真砂土」ですが、今回の災害の原因にはなって欲しくない「真砂土」です。

早く広島地方の雨が止み、行方不明者の捜索や復旧が進むことを願うばかりです。

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