楽茶碗は大嫌い!? でも茶碗を焼きに焼きまくる男『迷雲』のブログ

楽茶碗の製作は地味で熱いなどシンドイことばかりですが、楽茶碗師『迷雲』が製作を通して感じたこと、知っていること、時たま脱線したこと(いつもかな?)を書き綴っていきます。

楽茶碗に思う『楽茶碗は大嫌い!』

私のブログの名前は『楽茶碗大嫌い!』です。茶碗を作り、土も合わせ、薬も石から作り、窯も作って来ました。

今まで1000碗以上は有に超えている茶碗を作りましたが、楽茶碗は嫌いだ!と言う感情は今も消えません。

これが趣味だったら面白いことと思います。しかし、仕事となるとただ面白いとは言えないのです。

例えば、ある昔の楽茶碗の釉薬や趣きのある作品を欲しいと言う依頼があるとします。

その場合、その過去の茶碗の研究から始めます。土はどんな土を使っているのか?造形は?その茶碗の作者の考えや思いは?釉薬は何を使いどのような比率で調合をしているか?

また、どのような焼き方をしているかなど、想像出来るだけします。

しかし、いくら考えても結論が出ない時も多々あるのです。そんな簡単に結論が出るのなら、世の中に既にそんな茶碗が出回っているからです。

よって、簡単には分からないのが当たり前の世界なのです。

自分なりの仮定を立て、その仮定を実証する訳ですが、仮定と現実は、そう簡単には溝は埋まりません。

その埋まらない溝を徐々に埋めて行く作業が並大抵ではないのです。

例えば、焼成試験をするためにテストピースを焼きます。そのテストピースは問題なく目的の色が発色したとします。

その後、本番の茶碗で焼成すると、全く違う色になり、今迄の苦労が水の泡となることは度々です。

そして何故そのようになったのかの検証がここから始まります。

ですから早くて何ヶ月。時には1〜2年かかることもあるんです。

やっと完成して納品したら、納品先は喜びますが、また新たな難題茶碗の依頼が来ることもあります。

そんな時には注文は有り難いのですが、自分の心は嬉しくは無いのです。また挑戦しなければならないからです。

私は、古楽を得意としますが、例えば長次郎の作品の様な茶碗の依頼があったとします。サンプル茶碗が出来上がり、先方に確認すると先方のお客様は茶碗の径を大きくして欲しいと更に要望が来ます。

大きく作ることは簡単に出来ます。しかし、径を大きくすると、全てのバランスが崩れて来るのです。

わかり易く言えば、茶碗の径を大きくすれば、当然高台の径も大きくせざるを得ません。しかし、茶碗のバランスは取れても、「うどの大木」を見ている様な茶碗になってしまうのです。

その茶碗にはその茶碗特有の大きさと言うものがあるんです。その大きさを超えたら、それはもう長次郎の茶碗とは似ても似つかない茶碗となってしまいます。

生意気ですが、私なりに茶碗はこうであって欲しいと言う考えがあります。

その考えを自ら仕事のために否定して作品を作りあげなくてはならないことが茶碗は大嫌い!と叫ぶ根拠なんです。

ですから、少しでもこのブログを見ている皆さんに、私の稚拙な文面ですが、自分なりに実際に自分で検証してきたことを書いて行きますので、表現等理解に苦しむ事も多々あると思いますが、お役に立てたら嬉しい限りです。

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