楽茶碗は大嫌い!? でも茶碗を焼きに焼きまくる男『迷雲』のブログ

楽茶碗の製作は地味で熱いなどシンドイことばかりですが、楽茶碗師『迷雲』が製作を通して感じたこと、知っていること、時たま脱線したこと(いつもかな?)を書き綴っていきます。

楽茶碗 『変な加茂川石』

黒楽茶碗は加茂川石が釉薬の主原料ですが、この加茂川石は不思議な石なんです。


何か不思議だと言えば、酸化焼成では黒楽に似ても似つかないえび茶色に焼き上がります。品もあったものではありません。


しかし、還元で焼くと見事に黒楽茶碗となるんです。変な石でしよ!酸素があるか無いかで色が全く違うんですから。


しかし、加茂川石の変化はそれだけではありません。還元焼成で確かに黒色は出ますが、色が単一過ぎて味わいがないんですよ!


焼成の後半の最終場面に於いて酸化焼成に切り替えても、味わいの奥深さは出ても何か足りない。


この足りなさを補うのが『炭』なんです。炭は良く還元剤と言われます。燃焼すると酸素を奪い、燃焼する時に酸素が足りないと一酸化炭素(猛毒)を出します。


ニュースなどでレンタンによる一酸化炭素の中毒事故がありますよね!まさにそれです!


だから、酸素が少ない状態で焼く還元焼成は炭自体が還元剤ですので、さほど神経は使いません。


でも、不思議な事なんですが、今市販されている良質の炭を使用すると、黒の色が綺麗過ぎて、まるで優等生を見ている感じに上がるんです。


力強さが無いというか、黒の色にパワーを感じないんです。


しかし、悪い炭を使って焼成すると、煙はモクモクと半端じゃない位出ますが、力強さがある黒楽茶碗になるんです。


刀の鍛錬に使用する炭も『たたら炭』と言う完全に炭化していない炭を使うようです。


現代の炭は良質な炭となり、余り白煙も上げなく、匂いもさほどしませんが、刀の鍛錬同様に楽茶碗でも昔ながらの余り炭化していない炭が楽茶碗には合っている感じがしてなりません。

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