赤楽茶碗と黒楽茶碗の造形の違い
赤楽茶碗と黒楽茶碗。形を作るまでは、何処が違うでしょうか?
土が違うと言う人もいるでしょう。でもここでは条件を同じと仮定して、土も同じとします。
ただ、赤楽茶碗と黒楽茶碗の造形の違いの問題です。難しい問題ですよね!
一言では言い表せないのではないですか?
赤楽茶碗や黒楽茶碗を作る時は、その何となく思い描く赤楽や黒楽茶碗の造形が大事となります。
もし、これを見ている方が、女性だとすると、異性である男性をどの様な姿で表現しますか?
逆に見ている方が男性だったら、女性をどの様に造形しますか?
茶碗も全く同様なんです。ゴツゴツしたガテン系の造形を赤楽に仕上げたら、どんな感じになりますか?
このガテン系茶碗だったら、黒楽の方が似合うと言う意見が大部分だと思います。
強いて赤楽茶碗と黒楽茶碗の造形を表現したら、赤楽茶碗は全体的に優しい姿をしています。
黒楽茶碗は真反対に力強い造形をしています。
また、黒楽茶碗には「荒し」と言って、茶碗の表面の一部をワザと土を荒らして、朽ちた様な表現をすることもあります。
赤楽茶碗は通常は「荒し」をしませんが、光悦は例外で赤楽茶碗にも「荒し」を入れています。
この表現は光悦独自のもので、光悦の美的センスと「手掛かり」を兼ねています。
この様に、多少の違いはありますが、赤楽茶碗は全体的に優しい姿であり、黒楽茶碗は何となく何処かに強さが表現されている茶碗と言えます。
その後、施釉や焼きにより、よりその造形をより美しく強調する様に仕上げていくのです。