楽茶碗の高台に付く目跡について
楽茶碗の高台の畳付に付いている跡を『目跡』と言いますよね!
茶道をされている方では、茶碗の見所の一つでしょう。
この目跡は、釉薬を施している楽茶碗が、焼成により窯に癒着しないように、窯道具であるトチの上に乗せて焼くので、トチの接地場所が『目跡』となる訳です。
そのような役目のトチですから、茶碗との接触面は最小にしています。
現代の楽茶碗では、ピントチと言い耐熱性の高い金属で針を作り、その針を何本か立てて、その上焼いている楽茶碗もあります。
その様な茶碗は目跡がピンですのでほとんど目跡は目立ちません。
しかし、目跡は見所となる通り、何故か目跡が無い高台は、間抜けに感じる時があります。
そもそも、目跡は焼成に於いて必然的に付いた跡です。その必然的な跡が無いのは、やはり見た目に於いて動的な感じがなくなるものです。
では、桃山時代の長次郎の茶碗の目跡はどうでしょうか?
五本位の目跡が確認出来ます。
楽家三代の道入(ノンコウ)はトチの目跡と言うよりは、センベイ(平らなトチ)の上で焼いている作品が多く、高台の畳付は釉薬でベタッと釉薬が癒着した感じの作品が多いです。
これは、道入の美的センスでしょう。
これらの例でも分かるように、高台の目跡に決まりはありません。
ですので、自分が表現したい目跡を作れば良いと思います。
しかし、注意事項はあります。釉薬は融けたら一種のガラスなので、指に目跡が引っかかったり、指に当たり痛い場合は、その当たりを丁寧に研磨は必要になります。