楽茶碗は大嫌い!? でも茶碗を焼きに焼きまくる男『迷雲』のブログ

楽茶碗の製作は地味で熱いなどシンドイことばかりですが、楽茶碗師『迷雲』が製作を通して感じたこと、知っていること、時たま脱線したこと(いつもかな?)を書き綴っていきます。

楽茶碗で炭化により出る斑点と御本手は全く別物!

楽茶碗での「炭化」に関しては、何回か注意して下さいと話していますが、楽茶碗を焼いている方の中では、まだ「炭化」と赤楽茶碗の表面に出る「御本手(ごほんで)」と間違えている節がみられるので、その違いを説明します。

まず、「炭化」とは大括りでは窯変ですが、私たちは窯変とは言いません。あくまでも「炭化」です。

「炭化」とは焼成後に茶碗が冷めないうちにオガクズや木片などの中に熱い茶碗を入れて密室のなかで蒸し焼きにして炭素を茶碗に吸着させます。

すると、炭素を吸着した場所だけ色が変わったり、また、茶碗表面にある無数の穴に炭素が入り込み、その穴が黒くなります。しかし、この現象は「御本手」とは言えません。

ただ、炭素が穴に吸着しただけです。

次に上げるのは、本物の「御本手」ですが、これは赤楽を還元で途中まで焼いてから、最後の2割位を酸化に戻して焼き上げます。

すると、黄土が還元により、うぐいす色になりますが、焼きがその後に酸化に変わることにより、釉薬表面にある無数の穴から胎土が酸化となり、その穴を中心として穴の周りが赤色に変色します。

この雰囲気が「御本手」と言います。

元来、この「御本手」は高麗系の堅手茶碗(楽焼ではなくて本焼の茶碗のこと)にその斑点がでた茶碗に対して使うものですが、楽茶碗に於いても、同じ模様が出た場合は「御本手がある赤楽茶碗」と言うような表現をします。

何となく炭化と御本手の違いは理解できましたか?

品格は雲泥の差ですから気を付けてくださいね!雲は「御本手」ですよ!

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