楽家五代の宗入について
楽家五代の宗入は、京都の呉服屋である雁金屋筋から養子として楽家に迎えられました。
四代一入の実子である一元は出されてしまい、後に玉水焼を起こします。
この宗入の作品は、俗に言う「カセ肌」を得意としています。
作風はその肌に相応しいように、力強い造形です。
このカセ肌ですが、釉薬の調合は変えているのは勿論ですが、まず、施釉の方法が特徴あります。
今までは、刷毛塗りですが、二度か三度塗りの後に「肌打ち」と言って、筆を立てて叩くように釉薬をつけることをしています。
茶碗の表面がつるつるしていないのは肌打ちによるものです。
また、この肌打ちが生きる焼き方をしなければ、せっかくの肌打ちも台無しになります。
その台無しとなる焼き方は、三代道入の焼き方をすると台無しとなります。
道入の焼き方は、内窯(サヤ)に作品を入れて焼く焼き方ですが、サヤがあると均等に焼ける利点はありますが、内窯という窯壁が茶碗と近いために、融けが早いんです。
宗入の肌打ちされた肌を活かすには、ゆっくりその肌打ちが活きる焼き方が必要なんですよ!
そのためには、内窯は使用せず、サヤの遠赤外線効果を使わないで、炭のカロリーだけでゆっくり焼いていく必要があります。
しかし、この焼き方も難しさはあります。窯内部が酸化になると窯温度が直ぐに上がって来ますので、上がり過ぎたら肌打ちは台無しとなります。
なので、絶えず炭を窯に補給して酸化にならないようにしなければなりません。
ですから、宗入の作品の黒楽は黒1色といった作品が多い訳です。
中には錆地が出ているような作品もありますが、部分によりますが、大半の錆地は二度焼きによる黄土の焼き付けだと思います。
経年変化だけの錆地ではないんですよ!