楽茶碗は大嫌い!? でも茶碗を焼きに焼きまくる男『迷雲』のブログ

楽茶碗の製作は地味で熱いなどシンドイことばかりですが、楽茶碗師『迷雲』が製作を通して感じたこと、知っていること、時たま脱線したこと(いつもかな?)を書き綴っていきます。

長次郎焼の窯にもっとも近い窯かもしれません!

江戸中期に出版された「楽焼秘嚢(らくやきひのう)」の窯について今日は話したいと思います。

この窯は、私が現在使っている窯ですが、私が思うにこの窯がもっとも長次郎焼に近い窯でないかと考えています。

その根拠は、まず構造にあります。

円柱形の窯ですが、120度の三枚の瓦の様な板粘土で作られ、三枚合わせにして円形の窯となっています。

この形状外では、錦窯のような一体化した円柱形になりますが、高火度焼成では、一体成形の錦窯では窯本体の耐久性が著しく落ちてしまいます。

その点、楽焼秘嚢に記載されている窯は三枚構造の窯のために、破損した場合には、その部分を交換すれば良いので、効率的であり、また瓦形状の部品を使用していることもあり、この窯が長次郎焼の窯に近いと考える訳です。

また、一見単純な構造に見えますが、炎の対流を見ると、窯下の三方からフイゴによる空気が入り、サヤ内部の作品に弧を描きながら上部三ヶ所に設けられている煙道より排出されて行きます。

この炎が弧を描くことが特徴なんです。

元来ですと、直炎式と言って下から上へと炎は上がり、そのまま排出されてあきますが、炎の全てが作品に当たることは無く、作品に近い炎だけが作品を舐めるように当たりながら上部へ抜けて行くのです。

しかし、この窯の炎は前述したように作品に対して弧を描くように当たるために、とても効率的なんです。

でも、何故かこの窯は陶芸界から姿を消しています。

何故かは分かりませんが、この窯が長次郎焼の窯に近いこと、また非常に黒楽茶碗の焼成に適している窯であることをここに記載したいと思います。
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