楽茶碗は大嫌い!? でも茶碗を焼きに焼きまくる男『迷雲』のブログ

楽茶碗の製作は地味で熱いなどシンドイことばかりですが、楽茶碗師『迷雲』が製作を通して感じたこと、知っていること、時たま脱線したこと(いつもかな?)を書き綴っていきます。

楽茶碗の正面の見つけ方

昨日のお店にあった道入の茶碗ではないですが、楽茶碗の表と裏は案外難しいんですよ!

近世の楽茶碗は誰でも表が分かるように、表側に景色を付けていますが、昔の作品には意表をつくために、わざと裏側に景色をあしらった茶碗もあります。

楽茶碗の図版などを見ても、ときたま表と裏を間違えて、裏を正面として撮影している本もときたま見ます。

現代の観念であれば、景色があれば表だと思ってしまうのも無理のないことだと思います。

そこで、前にも書きましたが、復習として、楽茶碗の表と裏の見分け方を再度かきますね!

まず第一に「景色」は無視してください。

まず口縁部に着目します。

そして、左右が下がっている場所を探してください。

その場所が見つかれば、裏から見ても口縁部の左右が下がっていることになると思います。

時計で分かりやすく説明すれば、左右が下がって見える場所が6時、下がっている場所が9時と3時ですね!

裏から見れば12時となり、3時と9時が下がっているようになります。

要はその6時から見た面が正面か、また12時から見た面が正面かのどちらかとなります。

では、何故口縁部の左右が下がっているのか?

一方が飲み口で他方が飲んだ時のオデコ側となるからです。

飲み口は少し下がっていないと飲みにくいからです。

また対面するオデコ側も、ここが少し下がっていないと、お茶を飲む時に圧迫感があるので少し下げる訳です。

さて、問題となるのは、6時側が茶碗の正面なのか?また逆に12時側が正面なのか?と言うことです。

印で見る方法もありますが、長次郎作品などは印がないので、茶碗その物で正面を判断する方法を勉強しましょう!

まず、茶碗の飲み口は正面(6時方向が正面と仮定)から見て3時方向にあります。

お茶を出されて、二回右回りに茶碗を回しますよね!それで飲み口に茶碗を回す訳ですが、必ずしも3時にある訳ではありません。

古い茶碗は4時方向が飲み口になっている茶碗もあります。光悦などはその典型なんです。

その3時か4時が飲み口だと仮定して、茶碗を実際持ってください。もし展示してあり触れない茶碗であれば、持ったイメージをしてください。

そこで、大事な場所があります。

まず、左手の親指の「かかり」です。
茶碗をしっかり保持するために、要は引っ掛かりが微妙に作り込んでいます。

次に左手の親指の付け根のふっくらしたところが茶碗に当たる場所を探してください。

もし、見ている側が正面であれば、その親指の付け根の膨らみが当たる場所は少しえぐられています。

それらがあれば、見ている側が正面です。

逆になければ、12時側が正面となります。

何となく理解は出来ましたか?

でも、茶碗の中にはそこまで作り込んでいない茶碗も沢山あります。

そんな茶碗は景色を目一杯出していますから正面に悩むことはありません。

でも、皆さんはもう茶碗の表裏がわかるので、そんな茶碗を見た時は、「なんだこの茶碗の作り込みは!」なんて思うことになります。

分かれば分かるほど、良くない茶碗が沢山世にはあるんだなと思ってくるのも事実なんですよ!

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