一節切(ひとよぎり)と楽茶碗の繋がり
今回は室町末期位の一節切を2本作ってみて、楽茶碗と同じ感覚を受けました。
今回の作品の本歌の製作時期は室町から桃山時代の一節切でしたので、漆の塗りも実用一点張りなんです。
これが、時代が下り江戸時代になると、漆の塗りもまるで工芸品のように見事となり、観賞にも耐える美術品みたいな感じになるのです。
勿論、白竹にキウルシの素朴な一節切もありますが、そのような工芸品的な一節切も多くなる感じがしました。
楽茶碗に於いても、初期の長次郎作品は実用一点張り。楽二代と言われる常慶までは同じ感覚です。
しかし、三代のノンコウ(道入)になると、茶碗である以上実用備えていますが、増殖面である釉薬の表情も多様になってきます。
一見、一節切と楽茶碗は全く関係ないと思われるでしょうが、双方とも時々の文化や背景は背負っているような感じを、今回の製作に於いても受けました。