楽茶碗は大嫌い!? でも茶碗を焼きに焼きまくる男『迷雲』のブログ

楽茶碗の製作は地味で熱いなどシンドイことばかりですが、楽茶碗師『迷雲』が製作を通して感じたこと、知っていること、時たま脱線したこと(いつもかな?)を書き綴っていきます。

やきもののルネッサンスに挑戦者求む

やきもののルネッサンスと言えば、それは有無を言わさず桃山時代から江戸初期となるでしょう。

ご存じの様に、今までの焼締陶器から一気に色彩の開花となりました。

瀬戸黒、黒織部、黒楽などの黒。
赤楽の赤。
織部の青。
志野の白。
黄瀬戸の黄。

物の見事に「四神思想」的です。

玄武(北)の黒。
朱雀(南)の朱(赤)。
白虎(西)の白。
青龍(東)の青。

見事に東西南北ですよね!

では、黄瀬戸の黄は何処でしょう?
東西南北南北の中央である黄龍です。

中央は偉いのです。
「偉い」と「中央」、そして「黄」と三拍子揃ったら、何か思い付きませんか?

そう、中国の皇帝の帽子やら衣装は黄色ですね!

だから黄色は偉い色なんです。

さて、話は冒頭に戻りますが、陶器のルネッサンスは一体誰がそれらの秀作を作り上げたのでしょうか?

楽茶碗は長次郎と言うことが分かっていますね!

でも長次郎の本職は瓦師であって、今で言う陶芸家ではありません。

織部茶碗にも「元蔵」さんと言う人がいたような。

では、志野は? 黄瀬戸は?

全て誰が作ったか分からないのです。
代々の陶芸家の家柄でもありません。

多分、農民であり、戦があれば戦士であり、作品も作る人々だったのでしょう。

茶道に秀でた人々が作品を作った訳ではないと。

しかし、何故それらの人々が今の時代まで残る、また愛される茶碗を作れたのでしょうか?

不思議ではないですか?

日本の工芸品に於いては、刀にしても作者の銘はあります。

建築物にしても棟梁の名前は屋根裏にあります。

しかし、陶器に於いては茶道で一番大事な道具であるにも関わらず、そのルネッサンス時代では作者銘がないのです。

作者銘が無いということは、名乗る程の者では無いとも言えるのです。

そんな人々が今に残る名品を作り上げた。

利休が茶碗を作ったのではないのです。

長々となりましたが、私の言いたいことは、全国にいる茶碗を作りたいと思っている方々にその事実を伝えたいのです。

要は、茶碗に対する情熱。
これが茶碗を作るための一番の資質だと思います。

だから、自分には出来ないなんて思わないでください。

過去に名もなき人々が凄い作品を作っていたことにもう一度目を向けてください。

時代は下り、光悦だってそうです。茶碗師ではありません。

その時代の空気感を如何に自分の物として表現出来るか?

ここがポイントです。

昔の茶碗が大好きな方は、是非ともその点をしっかりターゲットとして作陶してください。

楽茶碗が好きでも、あるときは志野、またあるときは黒織部、そして気が向けば黄瀬戸。

なんでも構いません。同時期の作品群を全て学んでください。

それらを作っている内に、その時代の感覚がいつの間にか付いて来るものなんです。

唐津だって、萩だって構いません。
その時代の作品を俺は(私は)制覇するぞ!
みたいな感覚でトライして欲しいものです。

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