楽茶碗は大嫌い!? でも茶碗を焼きに焼きまくる男『迷雲』のブログ

楽茶碗の製作は地味で熱いなどシンドイことばかりですが、楽茶碗師『迷雲』が製作を通して感じたこと、知っていること、時たま脱線したこと(いつもかな?)を書き綴っていきます。

分からない光悦の「時雨」

今、入会された生徒さんが製作希望である、光悦の黒楽茶碗「時雨」を研究していますが、この茶碗の意匠は分かるのですが、特筆する部分があり、前代未聞です。

それは、口縁部分にある三ヶ所のギザギザした山並みの部分です。

普通に考えたら、この部分にこんな造形があると、茶巾が引っ掛かってしまいます。

ですから、普通に考えるのなら、口縁部分は滑らかにして、茶巾が引っ掛からないようにするのです。

しかし、光悦のこの茶碗は違う。

まず、これは何か ?
答えはまだ出ていません。

ただ、茶を点てる時、また飲む時には支障のない場所にあります。

相当入念に造作していますので、何らかの光悦の考えが存在しているはずです。

この茶碗は既に述べたように、日本刀の茎である錆地、そして刃紋と錆際を表現しています。

しかし、日本刀にこの茶碗の口縁部にある、三ヶ所のギザギザした山々はないのです。

あえて日本刀で言うならば、玉鋼を割った時の玉鋼の断面です。

このギザギザした山々のような断面をしています。

しかし、光悦の茶碗が日本刀の各部分を茶碗の意匠に取り入れていますが、日本刀の作るまでの段階の玉鋼となると、ここまで意匠に取り入れるものかと疑問が残ります。

まだ、現時点では分かりませんが、この「時雨」には、何かが隠されている感じがします。

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