楽茶碗の焼成においてサヤあり、サヤなし。
楽茶碗の焼成において、楽窯のサヤ(内窯とも言う)の中に茶碗を入れて焼くか、それともそのままサヤを使わずに茶碗を焼くか?
まず、赤楽茶碗に於いては、サヤに入れなくても、黒楽より低温で焼けるので普通は使いません。
ぎゃくに黒の場合は、加茂川石釉薬では、どうしても1100℃位の温度は必要なので、ふいごにて温度を上げることになります。
温度を上げることは、どうしてもふいごの吹く回数も増えるので、火炎が大きくなります。
すると、炭の良く燃焼しているところと、多少燃焼が遅れているところでは、火炎のムラがどうしても起こります。
そうなると、茶碗の焼けムラが生じます。
それを防ぐためにサヤ(内窯)の中に茶碗を入れて焼くのです。
ただ、けってんとしては、サヤの遠赤外線により、茶碗が均一に焼けます。
均一に焼けることは悪くはないのですが、面白みが出ないのです。
黒楽茶碗は、多少の差で焼けムラがあった方が味わいがあるのです。
そのような黒楽よりを焼く時は、サヤをあえて使わずに、直に焼くんです。
でも、前述のように火炎のムラがどうしても発生します。
それをどうコントロールするかが、ふいごのテクニックになるのです。