光悦の黒楽茶碗、「雨雲」と「七里」の共通点
今日の講義が光悦だったので、光悦の2つの茶碗について推測ですが、お話したいと思います。
その2つとは、黒楽の「雨雲」と「七里」です。
形は全く違いますが、この2つの茶碗には共通点があります。
その共通点とは、色合いです。
「雨雲」は以前に収縮の問題でまだ完全には写していませんが、技術並びに釉薬は分かっています。
その観点から「七里」を観察すると、釉剥がし部分は「鬼板」もしくは「黄土」化粧をしていないだけで、技法は同じと思われます。
「雨雲」は釉剥がし部分が茶碗の上部にあるため、一回焼成で可能ですが、「七里」の場合は、高台脇に釉剥がしが二ヶ所あるため、一回の焼成では不可能な感じがしています。
なぜなら、「雨雲」は段々にフイゴの吹きを押さえていけば、炎はそれに従い小さくすることが出来ます。
それにより、茶碗上部は酸化にすることが出来ます。「雨雲」の上部は酸化なんです。
しかし、「七里」は酸化部分が各所にあり、ましてや高台脇まであります。
そうなると、黒楽釉薬のみを黒にするために還元として、各所にある釉剥がし部分を酸化にすることは不可能となります。
また、還元で黒楽釉を黒くしてから酸化に持っていくことも可能ですが、そうすると、黒楽釉が多少変色してしまいます。
なので、結論からいえば、通常還元でやいてから、後に釉剥がし部分に透明釉を塗り酸化で焼いた可能性は否定できません。
これは、楽家三代の道入の「黄ハゲ」と共通の焼き方だと感じています。
また、上記方法外に、加茂川石釉にマンガンなどの添加物を入れると一回の焼きで焼ける可能性はあると付け加えます。