楽茶碗は大嫌い!? でも茶碗を焼きに焼きまくる男『迷雲』のブログ

楽茶碗の製作は地味で熱いなどシンドイことばかりですが、楽茶碗師『迷雲』が製作を通して感じたこと、知っていること、時たま脱線したこと(いつもかな?)を書き綴っていきます。

楽茶碗で御本手を焼くには‼

茶碗でも楽茶碗でも、御本手(ごほんで)と言う所々に見込みや茶碗の側面に小さな穴の開いている部分だけ発色が異なる茶碗を見たことがありませんか?

このような茶碗を御本手茶碗と言います。

楽茶碗の場合は、御本手が出ているみたいな言い回しで、御本手茶碗とはあまり言いません。

高麗系の茶碗によく使う言葉かな!

そんな所々に発色が異なる楽茶碗を焼くにはどうするか?

御本手の茶碗をよく観察すると分かるのですが、発色が異なっている部分をよく見ると、必ずその部分の中心には小さな穴が開いています。

これこそが御本手が出来るために必要な穴なのです。

その他には条件が更に二つあります。

一つ目は、粘土若しくは化粧土が多少の鉄分を含んでいること。

二つ目は、還元から酸化に持って行くこと。

この三点により御本手が出来ます。

先ず、多少の鉄分がある粘土で作陶します。乾燥後には素焼きをしますね!

素焼きが完了したら、これから施釉です。

しかし、素焼き時には粘土内部にある水分が小さな穴から出て来ます。

その穴は施釉してもなかなか釉薬が埋まりません。
穴の上から釉薬を塗っても、中に空気が閉じ込められるために、直ぐに釉薬が弾けて穴が開きます。

その穴を埋めるには、釉薬が乾燥したら優しく手で回りの釉薬を擦って馴染ませます。

しかし、御本手を出したい部分はそのままにします。

そして、焼きます。還元でじっくり温度を上げて行きます。そして、釉薬が溶け出したタイミングを見計らい、そこからは、一気に酸化にもっていきます。

ふいごですと簡単にそれがコントロールできます。何故かと言えば、窯の中で燃えている炭は、現在の量で急には量は変化しません。

なので、ふいごにて空気を送る量を多くして、楽窯の排煙をスムーズにしてやれば、酸化になる訳です。

するとどうなるか?今まで還元でじわじわ温度を上げてきて、釉薬が溶けだして今したよね!

そこから酸化にもって行くと、温度は一気に上がります。

本体は還元にて焼けていますが、先程の小さい穴が各所に開いて今したよね!

その穴は釉薬では埋まっていません。なので酸化炎が入り込み、その部分だけ酸化に焼けるのです。

なので、発色が異なるのです。でも、発色が異なるのは鉄分のおかげ。

還元では白、青白、ウグイス色などです。酸化になると赤茶や肌色。

そんなことで、手が出来るのです。

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