楽茶碗は大嫌い!? でも茶碗を焼きに焼きまくる男『迷雲』のブログ

楽茶碗の製作は地味で熱いなどシンドイことばかりですが、楽茶碗師『迷雲』が製作を通して感じたこと、知っていること、時たま脱線したこと(いつもかな?)を書き綴っていきます。

楽茶碗は何回焼いているのかな?

普通のやきものでは、素焼と本焼の二回の焼成をしますね!やきものはまず粘土を捏ねてから形を作ります。


作品が出来たら今度は乾燥して素焼します。素焼とは、700〜800度位で軽く焼くことです。この素焼により、粘土内に含まれる有機物は燃えてしまいます。


また、例え水に浸しても形は崩れなくなります。


その後は、施釉(釉薬を付けること)をして、乾燥させて本焼して作品が完成します。ちなみに本焼の温度は、楽茶碗で言えば800〜1100度、普通のやきものだと、1100〜1250度が本焼の焼成温度になります。


しかし、素焼及び本焼の二回の焼成以外のやきものも実はあります。


それは、有田焼などの色絵磁器です。色を多彩にするために、本焼した作品に新たに低温釉(800度前後で定着する釉薬)を更に重ねて低温で焼きます。


よって、計三回の焼成となります。江戸時代の仁清(仁清)や乾山(けんざん)も陶器でありながら、そのような三回焼成をしています。


ですから、やきものは素焼と本焼の二回だけだとは思わないことです。


六古窯(ろっこよう)である備前信楽などの焼き締め陶器(釉薬無しで焼き締めた陶器)なども窯奥の作品は焼きが甘いために何回も焼成を繰り返して焼き上げています。


対象作品は変わり、楽茶碗はどうでしょうか?通常ではやはり素焼と本焼の二回焼成です。


しかし、昔の名品茶碗を試験焼成すると、実は二回の焼成ではどうしても不可能な表現(釉薬の表現にて)出来ない作品が存在するんです。


その表現を本焼で再現すると、釉薬が混ざり合ってしまうんですね!各釉薬の融解温度を変えて一回で焼成する方法は確かにあります。


しかし、その方法では微細な表現はどうしても不可能です。


また、逆に考えれば誰が一回の本焼と決めたのでしょう!誰もそうは決めていません。


要は目指すやきものが出来て破損しなければ、それでいいのです。


だから、楽茶碗は素焼と本焼だけだとはとは思わないでくださいね!

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