楽茶碗の高台の見方
今日は楽茶碗の高台の話をしようと思います。
楽茶碗の高台は形が色々あり、作者の意匠を述べていたらきりがないので、基本的なことを話します。
まず、長次郎作品を例にすると、高台の外側が柔らかい造形にすると、高台の内側と畳付の境はキリッと作ってあります。
これは何回も話していますが、「陰」と「陽」に起因します。
どちらかが柔らかい表情だったら、その反対はシャキッとなっていると言うことです。
楽茶碗ではありませんが、黒織部などの高台は粘土紐を付けたような高台ですが、高台の内側はヘラでサッサと勢いよく削って陰陽を出しています。
また、高台は普通に作り上げていますが、内側の削りの円周が、半分はカクカク(六角形の三辺みたいな感じ)していて、半分は円形の高台もよくあります。
これも同じく陰陽の表現です。
次に、手持ちが良くなるように、高台の外周を円ではなく、上記のようにカクカクしている茶碗もあります。
例で言えば、光悦の「不二山」などです。しかし、これまた高台の内側は逆に綺麗な円形としていま。
余談ですが、同じ光悦の茶碗で「乙御前」と言う赤楽茶碗がありますよね?
この高台は普通の高台とは全く違っています。高台の内側の削りはありません。
何処に陰陽があるかと言えば、大きく捉えれば、茶碗全体を陽と捉え、高台を陰としています。
ミクロで捉えると、その高台にも陰陽が存在しています。その陰陽の表現とは刀の茎(なかご)と刃の境目のように鏡面にした部分と錆地を出したような意匠がそこには存在しています。
このように高台にはいろんな意匠がありますが、大事なことは「陰陽」があることは覚えておいてください。