黒織部が伏せ焼きしていた事について
長次郎の黒楽茶碗と黒織部茶碗の上物が同じように伏せ焼きをしていたことはお話ししましたね!
今日は楽茶碗からまたまた脱線して、黒織部茶碗について話します。
織部の茶碗は、俗に言う沓茶碗てますよね‼
それは造形ですが、焼きにおける釉薬の融点に焦点を当てて見ましょう。
伏せて焼いているのは、口縁のトチの痕から見て事実です。
そうなるととても小さい窯での焼成、即ち楽窯での可能性がとても高くなります。
しかしそこで融点の問題が残ります。黒織部の釉薬原料は加茂川石ではなくて鬼板と長石、そして灰です。
その原料で作られた釉薬だと、どうしても釉薬の融点は楽窯では、温度が足りまません。
そこまで温度を上げることは、ふいごにより可能ですが、焼きに於いては温度を上げることのみとなり、色々な焼きのコントロールが不可能となります。
要は釉薬を溶かすことは出来ますが、ほどよく焼くことが出来ないということです。
ではどうしたか?
たぶん、釉薬の配合が異なると考えられます。
その答えは鉛白の追加です。
鉛白を入れることにより、釉薬の融点が下がります。
そうです、鬼板、長石、灰、そして鉛白の釉薬の可能性があります。
それだと、楽窯で難なくふいごにてコントロールして茶碗を焼くことが出来ます。