楽茶碗は大嫌い!? でも茶碗を焼きに焼きまくる男『迷雲』のブログ

楽茶碗の製作は地味で熱いなどシンドイことばかりですが、楽茶碗師『迷雲』が製作を通して感じたこと、知っていること、時たま脱線したこと(いつもかな?)を書き綴っていきます。

楽家三代、道入(のんこう)の茶碗について

道入(のんこう)は、楽家三代の陶工ですね!

この道入の茶碗の凄さは何か分かりますか?

男性より女性から好まれる道入の茶碗ですが、造形的には柔らかい感じを受ける茶碗なので、女性から好まれるのも納得します。

この道入の凄さは、まず技術なんです。

その技術とは、黒楽に於ける加茂川石臼釉の調合です。

同じ配合はなるべく使用せず、茶碗の形に合った黒楽釉の調合をしています。同じ釉薬を使った作品もありますが、少しづつ変えているのです。

次に、釉薬を厚く施しています。加茂川石釉は、比重があるため厚く釉薬を施すと茶碗はおのずと重くなります。

その欠点を防ぐために、器体は極端までに薄く削り上げているんです。ですから口縁部から腰に至るまでは釉薬の厚さを除いた器体の厚さが1ミリしかない作品もあります。

意匠に関しては、鋏跡は通常茶碗の正面の後側に付けますが、道入は鋏跡をデザインとして、茶碗正面に付けてある作品も多々あります。

長次郎や宗慶、常慶には無かった意匠てす。

細かく言えば切りがありませんが、最後に高台について話します。

道入の高台は、案外シンプルなんです。切りっぱなしの畳付作品も多いです。

なぜ、道入は高台にそれほど力を入れなかったかは分かりません。

しかし、交流のあった光悦などから比べると、器体の造作や高台にこることなく、極端まで薄く茶碗を削る技術ならびに、黒楽釉薬における多彩な配合の知識や技術が秀でており、造作における表現は二の次だったような感じを受ける作品が多いです。

何はともあれ、目指す所は違えども、道入は技術のある陶工であったことは作品から見ても確かなんですよ!

Copyright 2014 meiun All rights reserved.