楽茶碗は大嫌い!? でも茶碗を焼きに焼きまくる男『迷雲』のブログ

楽茶碗の製作は地味で熱いなどシンドイことばかりですが、楽茶碗師『迷雲』が製作を通して感じたこと、知っていること、時たま脱線したこと(いつもかな?)を書き綴っていきます。

楽茶碗の正面の景色を極める!

楽茶碗の景色について話します。

やきものの景色は壺でも茶碗でも正面にあります。

でも、元々は無かったと思います。初期の高麗茶碗にしても、唐物茶碗にしてもありません。

ただし、茶入れに関しては別です。正面に釉流れが読み取れます。

この釉流れは元は自然発生的に生まれたかもしれませんが、室町時代からつかわれている大名物茶入れにはその釉流れ(景色)が存在します。

日本のやきものではどうでしょうか?

信楽の壺や古備前の壺などは、穴窯若しくは大窯で焼いていたので、炎の流れは、焚き口から煙道まで一直線に走るため、焚き口側になる面はどうしても灰被りをするために、その灰が融けて流れて景色を自然に作り出します。

それが桃山時代になると、呼び薬と言って、故意的に予め松灰釉を自然のように施釉したり、飛び釉と言った如何にも窯の天井から釉が垂れたように施釉する壺が増えてきます。

特に、伊賀焼などはその典型です。桃山時代の伊賀焼の花入れが自然釉だけで出来上がったと思ってはいけません。

よって、桃山時代からは、作品の正面をしっかり決めてから、また施釉をあらがじめにしてから窯入れしたり、また完全に人為的に景色を作るために施釉しました。

楽茶碗も例にもれず、正面に何らかの作為をしています。

造形で表現する茶碗、施釉で表現する茶碗、またはその両方で表現する茶碗があります。

正面の景色の表現はなかなか初めは難しい問題です。

ですから、過去の名作茶碗をしっかり観察して、ノートにその正面の景色をエンピツなどで書き取ってください。

なるべくたくさんです。

書き取ることにより、いろんな景色の表現が分かって来ます。

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これが分かれば、施釉の時に困りませんからね!

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